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2009.05.20

黒田家の米蔵修繕工事

菊川市、旧小笠町の「黒田家」。通称、黒田代官屋敷。この屋敷内の建物は、国の重要指定文化財になっています。(静岡新聞で紹介させていただきました。)
この黒田家の米蔵の修繕工事が現在、行われています。
用事があって、ちょっと現場を覗いてきました。
(残念ながら、ウチで設計をやっているワケではありません。。文化庁の管轄のようです。)
修繕現場
ここの長屋門は大変有名で、修繕も済んでいるのですが、お隣のこの蔵は、長年、足場とシートがかぶったまま、いつ倒壊するのか??という位にそのままになていたのですが、やっと、修繕の手が入りました・・・これから2年かけて、直していきます。
一般の皆さんがイメージする、蔵とは違い、穀物や農機具などを保管する蔵なので、土壁の厚さや小屋組みなどは、比較的簡単なモノになっています。それでも、150~200年以上経っている建物ですから、貴重なことは間違いありません。
蔵の柱が並ぶ
↑大きさは5間x約3.7間・・・梁間の柱ピッチが微妙な寸法になっています。
お屋敷と長屋門、そしてこの蔵。 梅園で有名な庭を含めれば、修繕が完了すれば、なかなか見応えがある一帯になります。。
現場に行ってみると、顔見知りの大工さんばかり。。実は、ここの仕事、地元の大工さんの組合が仕事を取って修繕と現場管理を行っているのです。
知り合い大工「おー。ちょっと。施工図描くの手伝ってよぉ。。大変だよう。。」
やま。「えーっ。もしかして手書き?」
管理までやってるので、写真や図面を残すのが大変そうです。。
↓虫食いなどで、だめになった梁を同じように型をとって新しく加工するトコロ。
梁の型をとる様子
大工さん以外にも、いつもウチがお願いしている左官屋さんも、工事に携わっています。
ちょうど壁の下地の試作をしてました。
しかも、ウチの現場では見られないような、いつになく、真剣な表情で。。大事な仕事してるんだなぁ。。(シュロ縄と藁縄をあわせて丸竹に巻きます。)
壁下地の丸竹
それにしても、この大不況の真っ只中。
建築では、皆、仕事がない・・・と言われるなか、地元大工さんたちは、2年間は、この仕事があるのだから、スバラシイ。。 建物って昔からそんな風に、雇用の基本だったトコロがあります。

↓さて、現場も見てると、これを発見。
古い柱
↑解体した部分に残るこの部分、150年以上経った柱なのですが、新しい材料のように、桧の節がくっきり。。恐らく内側は削れば、もとの木肌が出てくるでしょう。
「木」は伐採してから、150年経った時が一番強くなっている・・・といわれます。
法隆寺の五重塔の芯柱は、法隆寺建立から約100年ほど前に伐採された木なのだそうです。
昔の人は、ホント、良くわかっている・・木のことを・・。

1300年以上も前からの知恵や技術が、ちゃんと残っている・・そしてその実績はスゴイものなのに。
どうして、それで、住宅メーカーのつくる木造や、鉄骨の建物が良い。強い。というのでしょう。。
「家」の本質は何なのか?「建築」の本質は何なのか?
それは、最終的に、ずっと引き継がれ、残ってゆく・・ということなのではないかなぁ・・。

実は・・この「黒田代官屋敷」を建てたと言われているのは、「山下喜八郎」という大工です。
横須賀から川上の地に移り住み、名工として、地域のお寺などを手がけました。
そして、その家系にあたるのが、私なのです。
でも、この職業になる時には、そのようなコトは全く知りませんでした。不思議なモノです。。
技術を伝える・・伝統を伝える・・というのは当然ありますが、「運命を伝える」・・「血筋を伝える」・・というのもあるのかな。。と思う今日このごろです。

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Posted at 05:50 | 古民家再生 | COM(0) |
2008.04.28

竹の丸 改修現場

ちょっと用事がありまして、竹の丸の改修現場へ行きました。
竹の丸は、数年前、LNで保存や活用を訴えてワークショップや個展などを開催したトコロです。
現在は、文化財の指定を受け、改修工事が進んでいます。
設計監理は、最近、親しくさせていただいている、増田千次郎さん。
↓掛川城の北にある竹の丸(旧松本家住宅)

takenomarunonaka

ちょっと現場を見学させていただきました。
この建物は、明治期から昭和初期にかけて数回の改修や増築を行っているので、大工の仕事が区画おきに少し違う部分があります。
特に、もともとあった主屋部分は、なかなか丁寧な仕事がしてあります。
takenomarunosigoto

ちょっとわかりにくいですが、大引といわれる単なる床下の下地なのですが、わざわざ鯱栓(しゃちせん)で留めています。。「道具もなく、加工も大変な時代に、見えない部分にこんなことする職人は、京都の職人に違いない・・千次郎氏談」
確かにそうです。柱の貫穴も奥が深く彫ってあったり、屋根の複雑な収まりをぴたっと合わせている仕事は、おとなりの報徳社の小屋組みとはかなり差があります。
完成が楽しみです。
↓増築した屋根部分はなんと檜皮葺き(ひわだぶき)
takenomaruyane


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Posted at 19:42 | 古民家再生 | COM(0) |
2007.11.27

古い家屋の傾きをローテクに直す!

小さな古民家の再生をやっています。
もともと家の傾きがあったようで、十年前位にアルミサッシにリフォームされてますが、建て起こしはしないで、斜めのまま、調整の枠を斜めにつくってサッシをとりつけていました。
その傾きは・・2メートルで約6センチ。。応急危険度判定や限界耐力計算(構造計算)で設定するギリギリのラインです・・・でもそれだけ傾いていても日本の家は倒れない・・とにかく傾きに強いのが日本の軸組の特徴である・・という証明でもあるのかも・・・。
さげふり

それでも、このまま使う・・というワケにもいきません。。
全体をジャッキアップするのが一番良いのですが、それには時間も予算もかかります。
そこで、すごくローテクですが、、単純に引っ張ってみることに・・・。
↓渡りアゴで小屋の梁の出ている部分にチェーンを引っ掛けて、ターンバックルで人力でまわします。。家屋を引っ張る

隣に広い駐車場があったので助かりました。できるかぎり引っ張り角度をゆるくしたいのです。。
↓引っ張りの根元はどうしてるかといいますと・・すいません。電柱を拝借いたしました。
電柱

さすがにこれだけで建て起こすのは難しいので、反対の押す側には、ジャッキをかい、引きと同時に押す作業も行いました。。家の中の建具はすべて外して、さあ、引け!
「ギリギリギリッ」という音とともに少しづつですが傾きが直っていきました。
だいく「おーいいよ。いいよ。あと3寸、いける・・」
6センチ(2寸)の傾きが半分に・・さらに逆側も建て起こし作業をすると、傾いていた柱がほぼ垂直に直りました!(スゴイ!)
ローテクで意外にできるものです。。電柱さんありがとう。
でも、日本の家屋ってもともとこんな風に、直せる・・ということが前提の造りなのだ・・と感じます。土壁やふすまなどの引き戸は、こんな時、大変便利です。。これにもし、開き戸ばかりだったら、取り外しと取り付けにかなり時間がかかります。。
昔は隣近所、皆で引っ張ったのでしょう。。ま。これでとりあえず、工事に入れます。。

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Posted at 05:12 | 古民家再生 | COM(0) |