2008.12.07

水中乾燥の木材、宮内大工の仕事

しずおか木造塾で講師をしていただいた大津の宮内さんの手掛けた家の見学会に参加してきました。(テレビの情熱大陸で放映された物件です。)
場所は、滋賀県大津。もうほとんど京都という位置。
宮内さんが今、注目を浴びているのは、「水中乾燥」という木材を水に一旦つけてから乾燥させる方法を自ら実践していること。そして、ボルトを使わない伝統的な組み方によって大工の技術伝承と、地元の杉材を使うことに繋がる家づくりを積極的に取り組んでいるトコロ。
特に、今回の物件で初めて実際の建物に応用した溝法「4寸角挟み梁溝法」は、試験場での実験によって実証されたデータを基に造られた、地元の木材を最大限に利用したスゴイ木造です。
宮内建築 現場見学会1
そして、水中乾燥は、自然の力を借りてしっかり木を乾かす方法として昔はやられていたのですが、
昔は木材の貯木場には、木をつける水槽がありましたし、海辺の木材屋では海水と淡水を混ぜた所に木材をつけていたようです。
流通や運搬方法、人工乾燥機械の普及、そして杉材のコスト安等で全くおこなわれていません。
これは、新月伐採と同じことなのかもしれませんが、木材を水につける・・・という行為は、どんなトコロでもつい最近まで行われていたのです。
聞いた話によると、樹種は違いますが、シロアリの害が多い沖縄でも、田んぼに水を張って木材をつけるということが行われていたようです。これは、乾燥というより、防虫のために行ったと聞いています。
宮川建築 見学会2
水中乾燥した木材の印象としては、本当に割れが少なく、表面が硬くなっていること。
↑写真のような組み方で、ボルトを使わず、「雇い(やとい)」という木の貫を入れてそれを木の栓(込み栓)で止める・・というやり方なのですが、一般的に、「雇い」に使う木は、杉ではなく、もっと硬い樫や楢、桧などを使うのですが、今回はこれもすべて杉。それだけ水中乾燥によって杉材の質が変わっているのです。本当にオドロキです。
それから、今回の物件は石場建て。基礎につなげないでそのまま載っているだけ。。これは限界耐力計算で申請を通しているのですが、今年の6月以前に確認申請を通しているので、現在の法律ではなかなか難しいかもしれません。

↓現場見学会の様子はこちら・・・


とにかく、宮内さんは我々のやりたいことをみんなやっている。。。。スゴイ!
そんなキモチは、今回も感じました。
そして、同世代の人間としてものすごく刺激になりました。
大工にしかできないことなのかもしれないけれど、設計者にしかできないこともある。
今回も、一緒にやられた設計の川端さんの力と宮内さんの力の結集力を感じました。

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2008.07.14

これからの木造住宅を考える連絡会

7月12日(土)に「これからの木造住宅を考える連絡会」が主催する、公開フォーラム「このままでは伝統構法の家がつくれない!」が行われ、これに出席してきました。
定員250名に対し、申し込み者は約400名以上で、参加できない人も多かったようです。
「これからの木造住宅を・・・・略して・・これ木連」というのは、木造に関連する各団体が、普段は別々に活動していますが、連携して業界のさまざまな問題や情報交換をしてゆく・・という取り組みです。
連携するのは、「財団法人住宅産業研修財団優良工務店の会」「職人がつくる木の家ネット」「伝統木造の会」「日本曳き家協会」「日本民家リサイクル協会」「緑の列島ネットワーク」の6団体。
私もそのうち三つに所属していますので、今回のセミナーに参加したワケです。
そして今回の「このままでは伝統構法の家がつくれない!」フォーラムには、そのほかに30以上の団体が賛同しています。それほど、今回のフォーラム内容は関心が高いということです。
↓会場の様子(新宿、工学院大学ホールにて)
会場の様子

今回のフォーラムは、本当に、みな、今、心配していること。不安に思っていること。を少し明るく、そして、われわれ自身の決意を新たにできたモノでした。
業界の人でないとわからないでしょうから、、少し説明しますと。。

姉葉(元建築士)事件からはじまり、「建築基準法」の改正、厳格化が、実施され、構造計算や確認申請のシステムが大きく変わり、現在大きな建物を建築するのには、設計や確認申請段階で、長い時間と多大なお金がかかるようになってしまいました。これは、ある意味では、不真面目な建築士をなくし、一掃する機会だとも言えます。が、手続きの運用面では、国側に責任が発生しないように・・チエックする側が楽なように・・・という内容が強く、融通のきかないモノになっています。特に、構造計算に関しては、適合判定というチエックを受けなければならず、このチエックを通すのに、今は、どれくらいの時間がかかるのか?どれくらい費用がかかるのか?(不合格なら出しなおしのため)わからない状態が続いています。
この、厳格化、今のところは大きな建物だけが対象ですが、来年からは、一般の住宅にまで、同じように手続きの厳格化が実施されます。また、「瑕疵担保責任履行法」の同時運用で、さらに多くの手続きや費用が発生します。 いままでは、「ココロ」や「モラル」でよかったものがどんどん法律化され、どんどん画一的になってゆきます。 われわれ、伝統的な木造建築をあつかている者にとっては特に、その運用の厳格化は大きな問題になっています。「いったいこれからどうなってゆくんだろう・・・」という思いがこのセミナーにこれだけの人を集めたのだと思います。

いちばん大きな問題は、材料の仕様が規定されること。と基準法で決まっていない、というか決められない、日本の昔からある伝統的な木構造をどうやって建てるのか?
材料の規定は、たとえばJASだとか、人工乾燥材を基準にした材料基準などが基になるということですので、そうなると、天然乾燥材は、法律上、使うことが難しくなります。しかし、私たちや実際にノミで刻んでいる大工さんは、わかっていますが、人工乾燥材で伝統構法・・つまり込み栓やホゾなどの方法で木造建築をすることは大変危険です。しかも、木は一本一本、性質が違う、まして地方に行けばそれぞれ違います。ですが、その地方は地方で、弱いところは弱いように、使って、現場で対応してきたのが日本の技術であり、木の使い方でした。そしてそこから生まれた伝統構法は、あくまで天然乾燥の木材を前提とした造り方なのです。材料を全国一律に規定し、そして申請を終えてしまったら変更ができない・・ということは、日本の造り方で造るな!天然乾燥の木材は使うな!むしろ石油を燃やして、乾かした木材の方を使え・・と言っているようなモノなのです。

そんなモンモンとした思いを持った人たちが、今回集まったワケです。
そして、モンモンとした話ばかり、かと思いきや、そんなことではありませんでした。
現在、伝統的な構法については、国交省でも予算をつけて、3年先の実用化にむけ、実験やデータの収集を進めているようです。また、今回集まったような人たちの持っている固有のデータなどをデータベース化する動きもあるようです。しかし、それでも3年は待たないといけない。。ここを皆で、がんばってゆかなければ、日本の建物は残せない!だからみんながんばりましょう!
そんな思いを新たにできました。
↓パネルディスカッションの様子
パネルディスカッション


最後に以下のような「決議文」が発表されました。この決議を胸に、現場の声を、行政や一般のユーザーに届けてゆこう!として今回のフォーラムは終了しました。
↓「このままでは伝統構法の家がつくれない!」決議文(原文のまま掲載します。)

「失ってはいけないもの つないでいきたいもの」

 今、私たちが先人から受け継いだ日本の伝統的な建築技術を手放してしまったら、百年後、二百年後、この日本から、風土に融け込んだ美しい風景が、季節のめぐりの中にある暮らしが、日本人らしい感性が、失われてしまいます。技術も風景も文化も、そして感性も、いちど失ったら、取り戻すことはできません。日本という国が、歴史や文化、職人技術を尊重し、それを活かすまっとうな国であってほしいと願います。

 そのために私たちつくり手は、現状では法律的に不利な立場に置かれていながらも、日本の木の家をつくり続けます。つくることのできる人育てをします。住まい手に伝統構法のよさをアピールしていきます。伝統構法を未来につなげるための法整備を求めます。

 このままの状態が続けば、伝統構法の灯は、それを望む人がいるにも関わらず、消えてしまいます。そうしないために、国ではこの三年で伝統構法の法整備を進めようとしていますが、それが伝統構法の家づくりをそれぞれの地域で、実現できる方向に進むのでなければ、伝統構法を未来につなげることにはなりません。つくり手の声に耳を傾け、現場に即した、計算や手続きが煩雑になりすぎない、誰にでも使える法律をつくってください。私たちも現場から、声を届けます。

平成二十年七月十二日
これからの木造住宅を考える連絡会(これ木連)


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2007.12.07

日本の木、山は今・・第二章 木材のこれから。。

「日本の木で造る日本の家」

日本の木、山は今・・第二章 木材のこれから。。

日本の森林とヨーロッパの森林。もっとも違うのは、その生産性です。日本の森林面積とヨーロッパの森林面積とはほぼ同じ位なのですが、ヨーロッパの生産性は40年前から見ると現在は1.5倍。日本は逆に1/3ほどに減っています。日本は所謂、「一番玉林業」で良い所だけ使い、あとは使わない・・というようになってしまっていて日本の何倍もの生産力がヨーロッパにはあります。プラスして、日本の森林のある山々は、大変険しく、出材に大変な労力と費用がかかることも生産性が悪い原因です。
現在、世界の木材生産の流れは、生産性の早い木材を育てるように変化しています。ブラジルなどではユーカリの植林が盛んなのだそうです。しかし、成長が早い木材は構造的な部分に使用することには向いていないので、バラバラにして集成材などにして使われています。北欧のホワイトウッドやホワイトパインなどが、集成材化されるのは同じような理由です。
さらに今進められているのは木材のペレット化です。木は紙の原料であるパルプとして利用されていますが、これからはペレットとして燃料になってゆくような動向があります。ペレットは暖房や温水に利用できるばかりでなく、最近ではペレットを使用した発電所もできているようです。石油高騰でこれからは新しい木材利用の流れがどんどん進むのではないでしょうか。
これから大事なことは「化石燃料」を使わずに「太陽エネルギー」をいかに固定して、利用するか。。です。現代は安い化石燃料があってはじめて成り立つ社会。ですが、限りある化石燃料に100%頼った世の中は、同じように限りがある・・と言えるでしょう。
「太陽エネルギー」をたっぷり固定した「木」をできるだけ自然のまま、運送エネルギーを極力かけずに生産されたその地域で使うのが本来の姿です。たしかに昔は自動車もなく、鉄道や道路も無かったため、仕方なくやっていたことなのかもしれません。ですが、森林荒廃、温暖化、石油高騰・・など数々の問題に直面している今こそ、もう一度、かっての「木」の利用法を見直すべきだと思います。
↓日本の山の架線集材の様子・・山と山に線(ワイヤー)を張って出材するのは大変な作業。。架線集材する丸太

もともと昔から木を生産し、使ってきた日本人は、生産性の悪い木材を大切にうまく使ってきた・・ということは言うまでもありません。日本独特の木造建築も、木材を無駄にしないで・・その皮も、幹も、その特性を利用した方法で造られています。生産性が悪い部分を、工夫と技術力でカバーしていたのです。
じゃあ今は国産材も集成材にどんどんすれば・・・という考え方もあります。しかし、生産や出材にもともとコストがかかる訳ですから、諸外国と同じように集成材を造ることは得策ではありません。山の再生を考えず、外国産材の価格に合わせれば、合わせるほど、さらに悪循環が続くでしょう。
では、どうしたら良いのか・・視点を変えると、高生産化、集成材化、している外国ですが、「無垢材」として出せる木材がどんどん減っている・・とも言えます。逆に、険しい環境の中、良い木材を選別して良い「無垢材」を出せる国は日本だけになっているのです。そしてその木材をうまく使う技術が日本にはあります。逆にそれを利用してゆく・・という手は充分あると思います。JAPANBRANDとして木を・・という活路もあるのではないでしょうか。ワタシはそんな思いを常に持っています。
↑(是非ご意見をお寄せください・・・。

何れにしろ、このまま山を放っておけばその活路も断たれる可能性があります。20年や30年サイクルしかないスクラップ&ビルドの木造建築で良いのでしょうか?皆さん、少々コストはかかるかもしれませんが、永い目で見てください。多くの皆さんが国産の木、地元の木を正しく使って家を造ることが、これからの日本を支えることに繋がってゆくのだと思います。

・・・つづく

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2007.11.29

日本の木で造る日本の家 「日本の木、山は今・・。」

日本の木、山は今・・・。

石油価格高騰の影響や地球温暖化対策などで今注目されている日本の森林。
戦後植林した山を中心に、手入れをされなくなった山の荒廃が問題になっています。
「日本の木を使った家」を造ろう!という活動の発端はこの植林した木を使うことにあります。
まず「良い木の家」ができるには・・「良い山」ができることから・・はじまります。。
ちょうど20年ほど前にその植林した木の間伐材を利用しよう・・という動きがありました。しかし、バブル経済と住宅メーカー台頭の背景の中で、安い外国産材の輸入がどんどん進みました。間伐材や国産木材を使おうなどというのは論外とされ、結局整備されずにほったらかしにされ、現在の荒廃を招いています。
もともと、植林した時は間伐した材もある程度売れることを期待して、それにより山の整備をしようと考えていたいた山主も、間伐材が売れず、輸入材流入で主伐材の単価も下がった為、山をそのままにしてしまいました。
そしてこの20年の間に日本の木材生産と流通のシステムは崩壊してしまいました。そればかりか20年間で日本の林業は他の国よりもすっかり遅れてしまったのです。
↓手入れがされず、荒廃した暗い山
荒廃した山

 20年前は、ヨーロッパの林業も今の日本のような問題を抱えていましたが、今はヨーロッパの林業は進み、日本はそのヨーロッパから木を買っている状態です。ですが、世界的に見れば・・日本は大変な森林王国なのです。流通しているロシアなどは国土の約50%弱、カナダやアメリカは約30%強、建設ラッシュの中国にいたっては20%強の森林率です。それに対し、日本の森林率は約70%弱もあります。まさに国土のほとんどに木が生えていると言って良いでしょう。にもかかわらず、日本の木材利用を見ると日本の木材自給率は、約20%ほどしかありません。しかし、最近になって輸入材の価格が上がりはじめました。石油高騰による輸送コストの増加や熱帯雨林地域の伐採制限の関係が原因と思われます。平成17年にはホワイトウッドの価格が杉の柱材の価格より高値になりました。ですので国産材をもう一度。。の気運が高まっているのは事実でしょう。
しかし、輸入材を主体とした価格での売り買いや、輸入材と同じような使い方をしていては、ただ無駄に日本の木を使うだけになってしまい、「良い山」を造ることにはなりません。実際、輸入材と価格が逆転したとしても、まだまだ木材市場の価格は低く、山の再生にかけるお金にはなりません。むしろ、価格が下がったままの状態で、国産木材の需要がどんどん増えてゆくことは、今は良いかもしれませんが、資源であるべき日本の森林を継続することができなくなる可能性が多大にあります。既にもう遅いところもあるのです。
ですから、国産材を使うのでしたら、その使い方(昔のようにロングスパンで家を考え、木を育てる)、流通の仕方(市場価格の見直しと流通の整理)、そして今までのような「良いところ取り」の使い方ではなく、かつてやっていたような「もったいない取り」「木造建築」ををちゃんと知った上で「日本の木」を使っていただきたいと思っています。

・・・・とりあえず本日はここまで。

マジメすぎる・・と言われますが、、これは本当に大事なことですので。これから、ときどき、この「日本の木で造る日本の家」をテーマに記事を書くことにします。お楽しみに。。

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