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2007.12.15

「ブリッジのある家」・・木を見せる家づくり10年目

「ブリッジのある家」・・木を見せる家づくり10年目
もうすぐ完成後10年になる家です。
ブリッジのある家_南アプローチ

もともとあった主屋の横に増築という形です。敷地全体は広いのですが、東側に1mほど上がった土地が隣接しており、そこまでの間口はかなり狭い状況でした。
所謂、田舎の脇屋の増築ということになりますが、この隣の1mあがった敷地を見て、ちょっとした発想が浮かびました。・・そのお隣の敷地は、栗や柿、ヤマモモなど、なかなか良い枝ぶりの雑木が生える、なだらかな傾斜の原野になっていて、ちょっと上に上れば・・防風林の上に遠州灘の青いラインが浮かんで見えます。
↓隣の原野から南を見る・・もうちょっと背伸びすれば海(遠州灘)が見えます。
原野から見る

個人の敷地内ですが、ちょっと前に、幼稚園くらいの子供たちが、お弁当を持って遊びに来ていた・・というエピソードがあるくらい、環境の良い所でした。
そこで、新しい家を介して、この敷地や環境を住まい手が取り込めないか・・と考えました。
その考え・・というのが、敷地にブリッジ・・つまり「橋」を架けることです。
↓向かって左が既存の主屋。中央が増築した家。左の生垣の奥に原野が広がります。板を張ったスノコ状の壁は冬場は日光が入るように真ん中は空けています。夏場はブラインド代わり。強い日差しをさえぎります。
橋を架けた家_南側外観

実は、ここの主人の趣味は「とり」。裏庭には自作の「とり小屋」が軒を連ねておりそこにはチャボだのウコッケイだのウズラだの・・朝方はかなりにぎやかい。。狭い間口いっぱいに建物ができてしまうと可愛い「とり」たちに餌もろくにやれなくなってしまう・・ということになり・・南側から何とかしてアプローチできる方法として考えたのもこの「橋」方式でした。この橋をくぐっていけば問題なく裏の敷地に行けます。
↓子供のころ、橋の下で遊んだことありませんか?ここをくぐる時には何となくワクワクします。意外に外用物置きに最適だったりします。
橋の下の風景

原野に対して橋を架ける訳ですから、家の方は、約1m位、床をあげて、高床になっています。高床にしたことで、原野部分が広い庭のように使えますし、南からの通気が素直に抜けてゆきます。
東原野から見る家

そして、何と床下は全て物入になっています。・・完成当初は、本当にいっぱい入るなぁ。。と感じましたが、10年経って、もういっぱいでした。でも有効に使ってくださっています。
↓耐力壁はステンレスのブレースを使って壁を無くし、南から北まで風が通るようにしています。水平ブレースも入れて丈夫にしています。
ステンレスブレース

建物が上がったことでデメリットという部分も確かにあります。。まず、段差。これは、隣の建物との段差ができるので、建物の中に階段室ができています。しかし、この段差は、2世帯住宅ということで、2世帯を分けるる意味でも空間の区切りとして機能しています。
↓既存部分との間にある、階段室。子供たちの遊び場にもなっています。
階段室

そして外部からの視線。敷地の南には道路があり、床が上がることにより、目線に近くなってそのままでは、訪問者には真っ先にリビングの様子が見えてしまいます。。そこで、開放した外壁に板をスノコ状に張って、通気を保持したまま、目隠しにしました。昼間はまったく家の中は見えません。
↓トップライトのある吹き抜けの屋根は、2階に障子を隔てて繋がっています。冬場は障子を閉め、夏場は障子を開けます。トップライトの開け閉めもここからできます。
トップライトと障子

さて、10年前は、「木の梁」をみせる・・だとか、梁や柱の組み方を設計者が考える・・とかは、あまり無い環境でした。でも今よりは、腕の良い大工が、元気に仕事をしていた気がします。その大工さんにも色んなことを教えていただきました。。やっぱ大工はすごい。。そして木を出すと気持ち良い。。と素直に感じた仕事でした。
■ ブリッジのある家データ ■
・家の大きさ:約40坪(床下物入は別)
・家の予算:約2450万(設計費別)
・構造:木造2階建て高床足固め組み(外郭:大壁、筋交い耐力壁・内仕切:真壁、面材耐力壁)

この家の造り方と、その時感じた木の温もりが、ココロの「木の家づくり」に繋がっています。

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