2008.07.14

これからの木造住宅を考える連絡会

7月12日(土)に「これからの木造住宅を考える連絡会」が主催する、公開フォーラム「このままでは伝統構法の家がつくれない!」が行われ、これに出席してきました。
定員250名に対し、申し込み者は約400名以上で、参加できない人も多かったようです。
「これからの木造住宅を・・・・略して・・これ木連」というのは、木造に関連する各団体が、普段は別々に活動していますが、連携して業界のさまざまな問題や情報交換をしてゆく・・という取り組みです。
連携するのは、「財団法人住宅産業研修財団優良工務店の会」「職人がつくる木の家ネット」「伝統木造の会」「日本曳き家協会」「日本民家リサイクル協会」「緑の列島ネットワーク」の6団体。
私もそのうち三つに所属していますので、今回のセミナーに参加したワケです。
そして今回の「このままでは伝統構法の家がつくれない!」フォーラムには、そのほかに30以上の団体が賛同しています。それほど、今回のフォーラム内容は関心が高いということです。
↓会場の様子(新宿、工学院大学ホールにて)
会場の様子

今回のフォーラムは、本当に、みな、今、心配していること。不安に思っていること。を少し明るく、そして、われわれ自身の決意を新たにできたモノでした。
業界の人でないとわからないでしょうから、、少し説明しますと。。

姉葉(元建築士)事件からはじまり、「建築基準法」の改正、厳格化が、実施され、構造計算や確認申請のシステムが大きく変わり、現在大きな建物を建築するのには、設計や確認申請段階で、長い時間と多大なお金がかかるようになってしまいました。これは、ある意味では、不真面目な建築士をなくし、一掃する機会だとも言えます。が、手続きの運用面では、国側に責任が発生しないように・・チエックする側が楽なように・・・という内容が強く、融通のきかないモノになっています。特に、構造計算に関しては、適合判定というチエックを受けなければならず、このチエックを通すのに、今は、どれくらいの時間がかかるのか?どれくらい費用がかかるのか?(不合格なら出しなおしのため)わからない状態が続いています。
この、厳格化、今のところは大きな建物だけが対象ですが、来年からは、一般の住宅にまで、同じように手続きの厳格化が実施されます。また、「瑕疵担保責任履行法」の同時運用で、さらに多くの手続きや費用が発生します。 いままでは、「ココロ」や「モラル」でよかったものがどんどん法律化され、どんどん画一的になってゆきます。 われわれ、伝統的な木造建築をあつかている者にとっては特に、その運用の厳格化は大きな問題になっています。「いったいこれからどうなってゆくんだろう・・・」という思いがこのセミナーにこれだけの人を集めたのだと思います。

いちばん大きな問題は、材料の仕様が規定されること。と基準法で決まっていない、というか決められない、日本の昔からある伝統的な木構造をどうやって建てるのか?
材料の規定は、たとえばJASだとか、人工乾燥材を基準にした材料基準などが基になるということですので、そうなると、天然乾燥材は、法律上、使うことが難しくなります。しかし、私たちや実際にノミで刻んでいる大工さんは、わかっていますが、人工乾燥材で伝統構法・・つまり込み栓やホゾなどの方法で木造建築をすることは大変危険です。しかも、木は一本一本、性質が違う、まして地方に行けばそれぞれ違います。ですが、その地方は地方で、弱いところは弱いように、使って、現場で対応してきたのが日本の技術であり、木の使い方でした。そしてそこから生まれた伝統構法は、あくまで天然乾燥の木材を前提とした造り方なのです。材料を全国一律に規定し、そして申請を終えてしまったら変更ができない・・ということは、日本の造り方で造るな!天然乾燥の木材は使うな!むしろ石油を燃やして、乾かした木材の方を使え・・と言っているようなモノなのです。

そんなモンモンとした思いを持った人たちが、今回集まったワケです。
そして、モンモンとした話ばかり、かと思いきや、そんなことではありませんでした。
現在、伝統的な構法については、国交省でも予算をつけて、3年先の実用化にむけ、実験やデータの収集を進めているようです。また、今回集まったような人たちの持っている固有のデータなどをデータベース化する動きもあるようです。しかし、それでも3年は待たないといけない。。ここを皆で、がんばってゆかなければ、日本の建物は残せない!だからみんながんばりましょう!
そんな思いを新たにできました。
↓パネルディスカッションの様子
パネルディスカッション


最後に以下のような「決議文」が発表されました。この決議を胸に、現場の声を、行政や一般のユーザーに届けてゆこう!として今回のフォーラムは終了しました。
↓「このままでは伝統構法の家がつくれない!」決議文(原文のまま掲載します。)

「失ってはいけないもの つないでいきたいもの」

 今、私たちが先人から受け継いだ日本の伝統的な建築技術を手放してしまったら、百年後、二百年後、この日本から、風土に融け込んだ美しい風景が、季節のめぐりの中にある暮らしが、日本人らしい感性が、失われてしまいます。技術も風景も文化も、そして感性も、いちど失ったら、取り戻すことはできません。日本という国が、歴史や文化、職人技術を尊重し、それを活かすまっとうな国であってほしいと願います。

 そのために私たちつくり手は、現状では法律的に不利な立場に置かれていながらも、日本の木の家をつくり続けます。つくることのできる人育てをします。住まい手に伝統構法のよさをアピールしていきます。伝統構法を未来につなげるための法整備を求めます。

 このままの状態が続けば、伝統構法の灯は、それを望む人がいるにも関わらず、消えてしまいます。そうしないために、国ではこの三年で伝統構法の法整備を進めようとしていますが、それが伝統構法の家づくりをそれぞれの地域で、実現できる方向に進むのでなければ、伝統構法を未来につなげることにはなりません。つくり手の声に耳を傾け、現場に即した、計算や手続きが煩雑になりすぎない、誰にでも使える法律をつくってください。私たちも現場から、声を届けます。

平成二十年七月十二日
これからの木造住宅を考える連絡会(これ木連)


↓こころ現代民家研究所も、「これ木連」の決議文のように声をあげ、天然乾燥木材を使い、伝統構法を残す仕事を続けて行きます!・・・ということでクリック。
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